月長石のいくつかのひび割れと、霧のようなテクト珪酸塩の空間にとりこまれて、投射された光ははじめて月の光に似た様相をあらわす
それはぼくたちの言葉に似てもいないだろうか
ぼくの言葉はぼくを離れあなたにむかい、あなたという空間…透明であり、濁り、屈折し、ひび割れでもある結晶の…あるいは流動し、その内側に光を、光をうちけす光をも湛えているあなたの内側ではじめて射像となる
それは豊饒であると同時に、揺れ動くあなたなしには、ぼくのことばはことばではない、ということなのだ
だから、ぼくのことばはぼくのものではない。それはうけとめたあなたのことばになる
でも、あなたが、ぼくから離れたことばを受け止め、その受け止め方がぼくにとっての誤解であったとしても、その責任はぼくにある
ぼくをはなれたその言葉が、あなたの心に血を流したとしたら、その血の責めはぼくにある
そして、あなたの言葉もまた、ぼくに血を流させる
その血はべつべつの、でもひとつの血だ。痛みは痛みであるのだから
それでも言葉は放たれ、血は流れ、ぼくたちにその責めを逃れるすべはない
赦しがもし与えられるとすれば…それは痛みそのものとして受肉した神以外にはないのだろうか
たぶんそうではない。他者と他者であることは、ひとつの赦しの可能性でもあるのだろう
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テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学
- 2008/05/01(木) 10:05:53|
- 交感神経日記
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第1種住居地域とは、全部で12の地域に分かれる「用途地域」のうちのひとつ
http://larcenous.sanyuu.biz/
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- 2008/09/06(土) 01:04:31 |
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