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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

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Concerto 挽歌

木洩れ陽の遊糸(ゴッサマー)散る森を往くぼくはこの世の彼はあの世の


            星からの帰還月宮蜘蛛の糸の凍る繊晶は髪に統べられて


みずうみの沖そこのみが照らされて誰も乗せずにボートは揺れる


            澄んでゆく空を映していた水面みなも ぼくらの翳をそっと寄せあって


ひそやかな痛みを愛す青ざめた頬に針葉降りやまぬ道


            ちぎれてゆく金の糸、音、噛む唇血の味がする浮かぶぼくたち


はらはらと舌に崩れるマカロンの甘さ再び死者の名を呼ぶ


            指を吸うそのひとときに閉じる目に葡萄は光る甘い雫に


どこまでも輝く鉄路その上を辿り還らぬ素足を思う


          ふいにすべてが遠景となる陽に褪める古いカレンダー唇を噛む


稜線に膝折る様をまばたきもせずに見つめていた、糸杉サイプレス


         かぜが通う花粉の匂いいつまでも眠るように午後揺れていた翳


夢に会うたび少しずつ稚いとけな くなる影 夏草ますます匂う


           
      ここにいるのはどうしてだろうかあの夕暮れにどこまでもあとを追っていったのに


樹のように育つ不在に水をやる白い十字の花咲かすまで


        そして静かに閉じてゆく影いつまでも雑踏のなか残る香水


この腕と籐椅子だけが記憶している失われた一人の重み      


    そこにひとりあゆみはじめたあの日の咲く花の記憶そして沈黙     


ポロネーズ弾けば十指は熱を帯び触れ得ぬ死者をひたすらに恋う     
     

      夏空にひとりの影は喪われてでもその影を追う砂の指先     


ふたりして朽ち果て蝶になる夢は夢のまま また傾く季節     


     「立ち止まるな」崩れる砂に沈むから曇る空の蝶遠い海鳴り     


声あげ泣けば何でも手に入った頃のたとえば紙の王冠     


     あの日ふたりが出会った廃墟乾く紙が風に鳴っていた明るい風景     


やわらかき足裏をもて断崖の際を歩きたもうかわが神        


     息をひそめ頬を寄せつつつまさきのほの赤い指を噛んだつかのま        


麻酔薬含む夕立うごけないまま溢れ出るものを見ている        


     すきまなく壁に抱きあい息をとめ血のように浴びていたあの夕陽        


最後まで残るのは声 暮れてゆく廃墟の石に耳を押し当て    


       いくつもの石が浮かんでいた夕陽のなかあたたかいまま触れえぬ高みに    


螺子ひとつ路上に錆びてどこまでも壊れゆくこの世界と思う     


           墜ちてゆく無数の光青い虚無からだを包む見えない焔     


折々は蜂蜜色の猫となり眠れ九階のぼくの窓辺に      


           月の光は公園に充ち遠ざかる足音がふと聞こえなくなる    


カモメ飛ぶ背負いきれない痛恨を担って沖のさらなる沖へ      


           灰色の鳥いま嵐は声のない叫びにみちる歓喜の極みに     


たとえば砂漠に上がる花火のうるわしさ Deader Than Dead 神もロックも      


          晴天は渇き亀裂の奔る空にもう More than enough すべては  


揮発してゆくアルコール発火にはたった一つの言葉で足りる        


         けれど愛の名残の火酒灼くのどにうたわれぬうた極まる高みを   


やわらかな黒土を掘る未だ会わぬ誰かと眠るその日のために     


        すこしだけぼくもさきにゆく夏の道真っ青な空とけてゆく雲     


草が隠す岬への道 海原に腕かいな むなしく差し伸べるのみ     


       砕ける泡もただ明るくていま水の木のしたを往く石を抱くとき    


その胸の海に漂う櫂ひとつ忘却のやさしさを拒み抜き       


       鏡の凪永遠の名に刻まれてそのときぼくも石となるだろう    


こんなにも若くあることそれのみを怖れ帽子の下でうつむく    


       いま風にほどけゆく霧老いてゆくふたりの姿をみるものはない   


死はすでに統計学にしてされど世界の果ての庭に咲くバラ    


      刻まれてその棘の傷いえぬままになお胸にまとう初雪の蔦   


眼の中に降りやまぬ雪この午後の死より静かに座せる人形ギニョール     


      目交いの沈黙に降る木洩れ日に「よいのか」と問うついのあゆみは   


微睡みの浅き底にて「もういいかい」と問えば彼方より「もういいよ」    


      手をつなぎ駆けてゆく夏あの日ついに見つけられないままのひとりは   


心おきなく嘆いたのちのモノクロの夢の中まで満ちる桃の香     


      その黒夜終の歩みをはじめていたぼくのにも積もる蛍火ほたるび    


死者の眼に浸みる万緑 ぼくが差す白いパラソルを点景として    


      廃墟には草いきれ充ち鳥の影のごとく真夏を過ぎるふたりは  


ただ一つの言葉を封じどこまでも流れゆくソーダ水の瓶は    


     雲を追うひとりの視野の不意に翳り立つ影の告ぐ「永遠の…愛」   


放射能帯びつつイエスかき抱く像を世界の中心に置き


     真昼間の不在へのアリア高みより水降る塔の灰の司祭


ラプンツェル黄金の髪をおろしゆく暗い水沼の底の世界に


     月を懸けて鈴鳴りわたる黒い空ひとり妖精の微睡みに老い


茴香フェンネルの香に咽びつつみずからの内なる闇におくる相聞


     迸る血潮にきみを雪ぎつつ青い花片を秘めて黒衣は 


冷え冷えとおろされた錠の隙間より滴るは血の一語、蜜の一語


       髪重く撓ううなじにぼくの指を纏いつかせる銀の冬の陽


厳冬に鍛える銀は失った指と無冠の額のために


      指を噛み刻印とする幻肢ふたつ絡みあいつつ銀褸する朝


陽は凝り琥珀となれば裂かれても差し伸べる手のカーブを永久に


       千年の砂漠の樹木言葉なく窓辺を過ぎる灰の使者たち


足先を砂に沈める朝 贄として選ばれぬ悲しみを持ち


         ゆるやかに踏み出す足に踏むガラス鮮血流れ光あふれ雨
  

素足にはきららなす傷 星々を踏んで踊った夜の終わりに


         さかしまの弧にのぼりゆく鳥の1羽窓に刻み空に雲無く
  

からっぽの玉座を抱くあの空へ被弾した翼に風を受け


         暗い水の閉塞はいま安息のよう魚となるぼくたちの指
  

ぬくもりと戦き たった一度でも指先だけのことであっても


         夕暮れに晴れすぎた空罅われた虹彩のなかとどかぬあなたは
  

目薬はみずうみの色 閉ざされた水晶の中に楽園がある


         そして歌う途切れ途切れの風そして雨は遠くなる濡れていた背
  

彗星の軌道のような確かさでぼくもまた終わりへと近づく


         そうそのとき空は晴れていた階段の途中でぼくは窓を見ていた
  

吹きすさぶ嵐とぼくを隔てるははかない硝子一枚の盾


         だからぼくはうつむきがちに道を歩く見たから見てはいけないものを
  

川べりの足跡は死者へと続く追いつけないと知りつつ辿る


         光の無い磁性の記憶いつかもうしらじらとぼくは微笑みはじめ
  

魂を苛む千の方法をならべ静もる午後の図書室


        爆縮あるいは内側への自壊あなたのなかの夜の星たちへ
 

 跡形もなく吹き飛んだ脳髄のかたちで宙に咲く薔薇星雲


      揺れている弦触れあえば青、閃光も閉じてゆく圧自壊星


舌裏に錠剤溶かしつつ揺らすブランコそれも朝までのこと


       いつかあなたの首を抱えて眠り深くただ聴いている朝 流砂を


そこでなら死者にも会えるような気がして木犀の下で眠った


      水の匂い夕暮れの波紋消えなくてたちどまることもできずに歩いて


気が狂うほど青い春おぼれても届かない水底の真珠に


      積み重なってゆく水の質量うすれゆく記憶でもあるだろう未来


御影石磨きぬかれて生きている誰よりも愛しいひとりの名


     静かに鳴りはじめた金の輪でもそこに手をつないでいる少女少年

       
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  1. 2017/06/07(水) 10:25:43|
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キアスム

キアスム 
     渇愛

どこにもあなたはいないだれもぼくを覚えない音もなく朽ちてゆくこの都市


かさねあういくつもの翳いまともに死者たちとあゆむこの街


遠い光あたたかさなく離れて道に冬の陽の凍り尽くす朝


倒れ伏す草たちの翳は墨色羽交いのうちに聞く河の声


雨の夏草のいきれ満ち求めあう指と唇腕と胸の狂おしく渇く愛


     身体

獣の冬、まちの底には凍土青く空に響きつつあゆむ陽のなかに


いくつもの鈴は氷つきひびわれでもきみの胸の錆びた銀葉


剃刀と湯舟の真白くて水は流れないままに揺れている髪


吸おうとするのは空虚にみちる果漿匂い無く透明に過ぎて


翅のあるものたちの幻夏ガラスの音を聴きつつあゆむ冬の祝祭


   息嘯

川はあさみ魚は去り雲ひとつのみ遷り過ぎ陽もすでに傾き


琥珀色の光衰ゆみたしゆく室内の壁初冬の午後


あかりひとつ閉ざしに似つつふせゆく目は緑に眩む夏のまばゆく


ゆびさきの髪には深くうずめつつ霧深むらむ交じる息嘯は


逃れゆき逃れきれぬまま震え揺らぎなお立ちつくす冬のすさびに


   深緑

どこまでも一様の青、空に雲などはなくて歩くことはいつかできなくなる秋


こどもたちは疲れてひかりあかるくて傾いてゆく午後赤金の影


くるまのまどにうなだれて眠る父なるもの もうそこにはこなかった春の陽


冬の長さたどりつくこともできなく鞄には本たちどまれば死の


腕のうちにつつみつつまれて眠る朝 いつか目覚めなくてもいいその朝




キアスム

麦の葉の牙めくも冬乾き果てて土埃這う道のあかるく


川浅み乱れて光褪せゆくも淵すむ水に眠る魚たち


撓う背に髪の乱れてとじし目に飛行機雲の散り果てるまで


ひかりあおく獣のふたり背に銀に戯れて噛む夜の上の月


声を噛み震えゆく身体うちにふかくやみを真紅に染めている芥子

   海嘯

すぎしことすぎゆく雲の街にたかく白に極みぬ真昼遠きうみ


流砂まちの底辺に過ぎぬ爪先はほのかに赤むくちにふくめば


顔をふかく髪に埋めゆくうち深き水の底より霧わきおこる


聴く鼓動の背に烈しくもふるえきたりやがて絶えゆくことのかなしみ


髪乱れ海藻を纏ううでにつよくいだきしめゆく海の鎮めに




   揺籃

襤褸まとう青き肌の子歌はいま途絶えゆく風野の秋の道


月ほそみ虫たちの声きよけくもさらにほそみてきゆるこのよる


寒露川面に散り交いぬきみをむねにつつみしままゆれゆくこと


朽葉木洩れ陽水底よりひかりさしかえす冬はきたりぬ


包まれる眠りは緑息を聴く窓に十月の光濡れる雨


   嘯鳴

鉄色の結晶をまとい暗く髪は横たわる砂 低くなる空


抱くとき重くその頚撓いつつもかすかにひらく唇は 朱


羽交いして冷えるうなじに落ちくるか雨 十月の褪せる草の野


雲に低み海鳥の群は黒 すぎてゆく秋あたたかにつつみ 雲たち


抱擁のつめたさの潮ゆらぎながら水底に眠りとけてゆく息



   白青

斜めに、光あたる壁あの日そこにおかれた手のいまはなく、声


パウダーブルーの壁ひとのかたちも真白にかわる金の西日に


秋の空をみあげることのできないままあるく舗道の影のその青


石鹸の白い泡に肌ほの青くふりそそぐいまは遠い夏の雨


白そして白遠い野の羊のなか雲を抱く朝に眠るぼくたち


   透青

朝なのに琥珀色の空凝固してひびわれてゆくぼくたちの声


耳に触れる寝息を腕に生白くそのあしうらの砂鉄に濡れて


真昼には淡い星たち、かわされる声風に散る午後の劫苦は


濯ぐ水を白磁にみたす鉄色のドアここまでは日差しとどかずに


散る月の湖水は暗くぼくたちはぼおとに浮かぶあおく透む骨
  1. 2017/06/07(水) 10:13:59|
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錠剤

轢断の尸屍断面をみつめつつつなぐふたりのゆびさきは冷え

閉ざし深くコートに包み沈黙に匂いたつかはぼくたちの肉

終焉の空間の壁は緑に時計の秒針はゆるやかにすすみ

みちてゆくバスタブの水ほの青くふたりの肌を白くするまで

薄い刃物痛みすらなく髪の先に刺す爪先はいまほの赤く

吸いあえば血は手首から銅の味のかすかに苦く光る唾液に

まといつくようにかさねて胸と足と背にまわす腕の枯れはてるまで

吸う口の吐息の深さ空虚よりわきあがる霧…夏草の川

このちからもいつか解けてゆくつつまれて灰色…眠りあるいは末期

噛む乳糖の甘さにわななく舌にしろくいまぼくたちのための致死量





  1. 2017/05/15(月) 10:18:34|
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残るもの

残るもの残されたもの日々に乾きのどにはひかる一粒の砂

闇の水鮮やかに澄みゆびさきより垂れゆく雫…うける唇

水滴におおわれてゆく壁のあかくよりそうきみの髪のぬばたま

鎮めゆく砂 水底の魚たちのすべてを見つつ眼はみひらかれ

抱く腕の求めあいつつ薄明に揺れている草…醒めぬ眠りに

深く埋め都市はたちあがる不意にひとは聞くだろうその息のひとつを

はじけてゆく泡の幽けく深き底よりあなたの頬に頬をそわせれば

春の草の匂い萌えたちよこたわる四肢力なく重く目を閉じ

重ねあう肌と肉とを骨と血を闇と光をそして霊とを

ひとりでありひとりではなく遷しあう意識の終にかよう常世に

かつてそこは路地だったけれどいまは陽にあかるむ真昼ひとたちの声

かたることかたられること終にやまず永遠を抱き高みゆく歌

うねる水を抱くようにして逃れゆく水あたたかにきみという魚

匂うとき草の息づく夏の野の白雲たかく昇る静寂に

閉じる目にひらく唇冷えゆくも閉ざされた部屋の曇る硝子器

玻璃の鈴透きさざめいて空にのぼる花たちの種子風などはなく

崩れてゆく都市をやがては見るのだろう鳥たちの群れに風あたたかく

きみの髪のやわらかくゆれ雲は低く丘にむかえばそこにある過去

なつかしいひとたちはいまもそこにいる陽にあたたかな永遠の町

水は空ときみの内側にみちるからうつむいて聴く深い流れを
  1. 2012/04/25(水) 06:25:13|
  2. 短歌
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