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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

みぞれ雪降る日のために その9

風が烈しく樹木を揺らし、一瞬のうちに落ち葉を吹きはらうように舞い上がらせた
そうぼくは思ったのだけれど

それは鳥たちだった.褐色の鳥…枯草色の小形の鳥たち.群といってよい数が、いっせいに飛び立ち左の空に上がっていった
風などはなかったのだ

鳥たちが去ったあと、その大きな枯葉がひとつ、またひとつ枝を離れ揺らぎながら落ちてゆく.真下に.風はない
枯葉はその輪郭をのみ、繊い金緑に光らせて揺らぎながらゆっくり旋回しておちてゆくのだった
それを雪子さんも見ていた
その横顔に翳りのようなもの憂愁のようなものが浮かび、つかのまに消えていったのだが、ぼくはそれを見た
かすかに、かたわらのそのひとの寝息がきこえている

「けれど、吊られないものはまるく内側にくるまってゆく.時間は、繋辞にとりこまれ、仮構を投射しつつ織り上げられてゆく…時間性なしに存在し得ないという意味でも神は仮構だ.逆に…」


触れているそのひとの身体からあたたかさが伝わることにぼくは、驚いてもいて、なにかが均衡のようなものを失い揺れつづけているようにも感じていた.不安より静かに、けれどもさらに大きく揺れている.足元のつややかな木の廊下の床さえうねるように揺れているようにおもえて…ぼくはすこし酔うようだったから、目を閉じた

風景が見えた

「ムジールのいう…いまだ目覚めぬ神のもくろみ…あるいは…関数的に揺れ動く、同時に因果律には縛られない偶有によって、わたしたちの世界は飛躍をくりかえす.その飛躍もまた、この世ならぬ天使の翼だ」

その黒い本には、ぼくに理解できない断章が多く…ほとんどといってよいほど多く含まれていた.けれども、その断章をぼくは暗記し始めてもいる.そのことに、微かな怯えをぼくは感じてもいる.うすく濁る深い沼の水を覗きこんだときのように

その土地の夏…まばらな樹木の林、その高い梢はまるく揺れ続け、その林のなかに沼があった
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  1. 2009/02/28(土) 06:37:29|
  2. 交感神経日記
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イコちゃんストラップマスコット♪

P1019029.jpg

関東で入手するのは至難♪

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  1. 2009/02/27(金) 15:49:35|
  2. 交感神経日記
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アーモンドの花

almond blossom

桜の花みたいでしょ
でも、ふたまわりくらい大きいので、なかなかに豪華です(大味という見方もありましょうが)

桜よりすこし早く咲くので、早春の彩りとして素敵かも

もちろん実の種の部分も食べられます。果実は少なくて非食用ですが

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  1. 2009/02/25(水) 10:04:58|
  2. 交感神経日記
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水のあやなみ Ⅱの36

暗く冷たい水の記憶が再結晶をはじめていた.感触、匂い、音として.そしてざわめきと冷たさとして.それは、いま…と感じられないことで、記憶にとどまってもいる.けれども記憶として現前の感覚としてではないのは、何故なのだろう
現前の感覚でなくしているのは、何だろう

海の感覚.巨大と言ってよい揺れの、その冷たさ.すべての体温は奪われて、その上にあるはっずの空すら、見上げることができなかった…だがいまここにいるのは?この澄んであたたかな水の中に見つめあって

水は明るく、その湯舟の明るい緑色を反射してぼくたちの皮膚を淡青に見せ、にもかかわらずほのあかく女性の頬や耳は染まっていた.健康な子供のように

女性は水の中で目を開きぼくを見つめていた.ぼくもそのようにしているのだから、ぼくたちは魚の目を…あの瞬きせず放心したような目をもっているのだろうか…放心…放心のように遠ざけ閉ざしている記憶があるのだろうか

女性の薄青くも黒い目が…見開かれたまま…ぼくを見つめている.あの魚たちのように

あの魚たち?記憶はゆるやかに構築されて、すぐには近づいてこない.水平に重ねられてゆく横たわる塔…その部屋の透明な床は、やはり薄く濁って…濁りながらその透明さのために支えを失ってもいる.あるいは宙に吊られて

不意に、女性の口から気泡が吐きだされ、暴れるように身体が水から出た
ぼくも驚いて水から上がった

女性はすこし呼吸を乱しながら、上体をおこして笑った.笑い転げるように…十代の少女のように軽くはなやかに
いや…十代の少女そのままに.そのこと…そのこと
その少女の日々が雪崩こむように現われる.その日、すべての叙述する感受性を呪いと祝福として受けいれたように

浴槽のかたわらには、小さな紙包みがあった.水引のような紐のかかっている…ぼくは手をのばし、その紙包みをとった.重さ、そして匂い
「…石鹸かな」
「杏の花の匂いがするわ」
と女性は言った



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  1. 2009/02/23(月) 07:26:05|
  2. ダークファンタジー
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ダニエル・ディ=ルイス



彼のおとうさんセシル・ディ・ルイスだったのかあ♪ダニエル・ディ・ルイスの知性霊気の密度ただごとじゃないものなあ


で、おとうさんのセシル・ディ・ルイスは詩人(&推理作家)で

…彼は野放図で生意気な餓鬼だったが天才のきらめきのある子供で、神からのみ学んだアダムのように

という一節を含む詩をニューヨークで客死したディラン・トマスにささげています.ディラン・トマスは天性の詩人…おそらくは20世紀英語圏最大の詩人で…たぶん苦吟とは無縁だった気もします.(推敲に推敲は重ねたでしょうが…生みの苦しみはなかったはず)あの多様と豊饒はうまれもって…おそらくは血とともに受け継いだ感覚感受性を含む言語空間のもたらしたもの.あと、酩酊してしまう人だったそうです♪

その詩は次のように終わります

…彼は創造物の限りない悲しみのなかから無垢の賛歌をつむぎだして、われわれの悲歌はその彼の賛歌に遠く及ばなかった

その…及ばなかった…という部分、outsungなので「われわれの悲歌をかれの賛歌は超えて響いた」という直訳になるのですが、再構築としては吉田健一さんの訳がやはりすばらしいです♪

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  1. 2009/02/22(日) 08:58:33|
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ミニノート♪

こうしてみるとハンドヘルドPCのシグマリオンⅢのコンパクトさがわかります

ミノノートはNa01というモデル
面白いスペックポリシーのあるモデルです

まだ届いたばかりで起動していません。不安なので手伝ってもらいたい気分

naomini

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  1. 2009/02/21(土) 23:24:41|
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Metalic rain その14

ミミネーグル…というお菓子、いまは無き京都ナガサキヤ(2000年倒産)のお菓子
黒い子猫…という名の
mimi negro スペイン語?ポルトガル語?

自作で再現…できなくもないかな…カカオパウダー、小麦粉と、たぶんフランボワーズ
ヘビーな超小型チョコレート パイ生地にカカオを練りこんで…という感じのもの
というか探せば類似品が身近にありそうにも
案外お菓子の定番レシピなのかもしれないし



群はいまどこまでも高く呼びかけて…でも…きみだけがぼくの黒い鳩
錆び尽くす塔たちの朝に見上げている切られたのちのあなたの髪
ダリアの黒、その内側の赤、濡れつつもくちに含めば露のまろみゆき
河に雪流れほのしろく沈む水底のあなたの目は灰色に開き
震えは静まってゆく海からの風風交じる雨公園のベンチに眠るぼくたち

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  1. 2009/02/20(金) 07:01:10|
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Metalic Rain その13

ピエール・ルイスの「女と人形」生田耕作さんの訳 を読みすすめて、題名が「少女と人形」でないことを理解しつつおもわず笑ってしまいました(わらっていいのかな?)



廃墟のガラスのヒビは立てに走って、そこに指先を這わせてゆくあなたの…予期としての痛み、でも流れる血はそこになく、ただあなたの指から白く…そして硬く人形化がすすむ.氷のような失透の白  ピグマリオンシンドローム…皮膚は乾いてセルロイドのようになるそして硝酸化し剥がれてゆく…雲母のようにその背中の下の撓う肋骨…肋骨につつまれて動く心臓の、あたたかなせつなさ
そのせつなさが灰を求めるとき空は、痛みそのものとしての雪に昏くなる春つかのまに青く燃えあがり消えてゆく雪
ちいさな…鈴の音を、あとに残して

花たち断ちきられてその群の都市の路傍にその黄あかるく
春にかわく獣の背の毛に深く指を沈めゆくとき尽きてゆく海
首にまわす腕の重さも雨に冷えて樹木黙しぬ彫像の庭
ルフランあるいは観覧車に陽は射してめぐりつづける午後の永遠
眠りを知らぬ人形たちの抱く冷たさ拘束具の足首に、鈴

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  1. 2009/02/11(水) 06:30:01|
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メタリックレイン その12

その場所が、北米西海岸のある都市だとはわかっていた.乾いて、紙片が風に流れてゆく.その無数の紙片のあるものは舗道に張りつき、あるものはそこから剥がれて流れてゆく.赤い電話ボックスのガラスが汚れている

明るい都市の風景.ダウンタウンにあるいてゆくと、奇妙に歪んだ車が増えてゆく.事故なのだろうか.屋根のつぶれたバス.横転したタンクローリー.紙が風に舞っている.ビルも歪み始めて、左右から迫ってくるようだった.壁のポスターも剥がれて風にとばされてゆく.手をつないで走り始める.道がトンネルのように狭くなってゆく
気づく.この風は、吹く風ではない.吸われる風だということを




濁流の魚たちの底、閉じられることのない目のなにも見えずに
舞いあがる昨年の落ち葉のゆくすえを知らなく運ぶ風にわたしも
そこにある光の空虚あたたかくて春の雪のいまとけてゆくとき
都市の隙間もガラスにつつまれそんなにも明るく満ちる冬草の雨
道に響く靴、水の音.割れてゆく月の蒼白.きみの胸の鈴は銀

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  1. 2009/02/07(土) 07:23:04|
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あやしくて…よい♪









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  1. 2009/02/03(火) 11:22:24|
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みぞれ雪降る日のために その8

「ここに来ておすわりなさい」
と雪子さんが言った

窓の外は、明るい光に満ちて、でも…よく刈りこまれている高麗芝の先には木槿の葉が落ちてベンチを埋めようとしていた
ぼくは雪子さんの隣にすわろうとしたのだけれど

「りょうこちゃんの隣に座って」と雪子さんがいう.陽光が藤の長椅子をあたたかにしている.唐草の織物の表面も、あたたかそうに見えた.でも、それよりもそのひとの背の丸さがあたたかそうに見えていた.それを不思議にも思ってもいる.眠るそのひとは、いつもの厳しさから解き放たれ、あたたかさとやわらかさのうちに、どこか、幼ささえ感じられもしたから

…幼いものは水に浮かぶ月、概念はそれをすきまなく満たそうとするが、それは双曲線の座標軸への漸近に似るだろう.無限に接近し、けれども触れ得ないふたつの線.触れて、互いにみたそうとするときそれは、月を掬うことのように指のあいだからこぼれおちてゆく…だが、無限は無限に依って満ち足りる



黒い本にあった漸近線と言う言葉をたしかめるために、旧市街の公園にある図書館に秋、ぼくは出かけたのだった.霧の日…でも、図書館の窓の近くは明るくて、ひどく旧い、群青色の関数論の本をひらくと、そこには幾つもの曲線と数式が並んでいた.美しく整然とした図形…数式


音…が聞こえている.かわいた軽い音…砂よりも軽く.風に交じって微かに.でもそれは柔らかな音ではない.視野の片隅で揺れているものを感じてぼくは外を振り向いた



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  1. 2009/02/03(火) 05:34:40|
  2. ダークファンタジー
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ロードス島と薔薇

例の「ミネルヴァのふくろうは暮れゆく黄昏を待って飛び立つ」をふくむヘーゲル「法の哲学」に次のような文が含まれています
「ここに薔薇がある.ここで踊れ.自己意識的精神である理性(論理認識整合性)と、現実存在にある理性(法則整合性)とのあいだには理性と現実とをわかつ抽象性という束縛が横たわっている.このために、現実のなかに充足(認識抱握が満足すべき状態にあること)を見いだせない.抽象が概念にまで自身を高めていないからである」

うーん…この「薔薇」とは?

「ここがロードスだ、ここで跳べ」という一節もありましたね…

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  1. 2009/02/02(月) 04:44:35|
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いくつか







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  1. 2009/02/01(日) 17:06:01|
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