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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

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水のあやなみ Ⅱの38

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たとえわずかであっても、その背が冷えていることの、痛みとして伝わること
伝わることで、かたちを成しゆくなにか。感覚がそこにあることの前に置かれる原感情のようなもの。
言葉もなく身をよせあう死者たちで今ぼくたちはあることの、生にそうている頃の悲しみの模像
「シュミラクラ…なぞるように記憶から立ち上げられた…わたしたち…」
女性の呟きは、けれども透明で明るさを含むように感じられた
その時間の推移。わたしたちの感覚はなにひとつそこなわれていない。いまもなおこの身体の頸木に囚われて


不意に不吉としか思えない感覚が来た
ざわめきでもなく、冷たさや寒さでもない、あるいは貧血してゆく感じでもない
輻輳する夢たちが逃げ場を失って彷徨うように、あまりにも満ちてはじけあうように…あるいは…夢であることの不快…醒めきれぬことの不快
回収されないまま、移ろうものの不快
そのどれでもない気がした
ぼくたちは何かから、逃れられずにいる
「わたしひとりであろうとしたとき、わたしはわたしでなくなる」そう言ったのはだれか

部屋を、わたしたちは眺めていた。湯は滾滾と流れ続けている。かつて氷であったときの記憶を、その水であることにもとどめて
女性がその手を真鍮の蛇口にのび、流れ出す水の勢いをゆるやかにし、湯のコックをすこしひらいた

「ぼくたちの認識は、ひとつのモード…コームアップされた定型化をうけいれているのだろうか.感覚は圧縮され、言語化可能な記憶にまでおとしめられ断片になってゆく」
「いま…雪が降っているわ」
「雪…?」
「光のとどかない、深い海に」


言葉の幽霊たち
「それは幻聴?」

と女性は言った

「わたしたちのからだ…」

「思惟を担う事象としての身体」
ぼくは続けた
「環境の共有がぼくたちの時間をひとつにするわけではないし…逆に空間を隔てているわけでもない…」

ぼくはタオルに手を伸ばした。女性が湯船から立ち上がるのがわかっていたかのように

そして、女性は深い海の底から浮かび上がるように立ち上がった。
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テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/06/06(日) 23:46:28|
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