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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

雨と虹と雲そして人形 その4話の3

そのカードの IL Y A には続けて 「上野の三日月で餡みつを食べてね」と書かれていた
文字は緑色や赤紫の虹色を帯びていたから、きっとブルーブラックインクに違いない
それにしても

…餡みつ か

ぼくは、すこし憮然としながら科学博物館の階段を降り始めた.午前の光はやわらかで、階段部の幾何学的なステンドグラスに多色化され、ふたたび溶けあってゆくあいだになぜか、深い青が現われるように感じられ、それを確かめるためにぼくは階段の中ほどに立ち止まっていた

青は閃光のように現われるのではなくて、あるいは視線を動かしたときに現われる補色、でもない青

いま、その青は見えていない.ゆっくり視線をさまよわせ、あるいは遠くして凝視から眺めに切り替えても、もうどうしてもその青は見えない

それは深く、そして澄み、闇のように暗い青だったのだ…そう、ぼくがむかし魅せられてしまったヒマラヤ産のブルーサファイヤのように.あるいは黒、と言えなくもないほどの深い青.でも黒ではなく青で、そして透明だった

ぼくは階段を降り、外に出て、足早に駅の方向に向かった

風景は明るく、そして硬質だった.舗道も建物も、樹木も人々さえ揺るがなさのなかにあって…でも、それとは別の宇宙がある.はるかに高次元のなかに透明に静謐にとりこまれて
それは星空の眺めに似ているのだろうか.遠さは、むしろ距離を失わせる.そして響きあう音のように互いに深くさしこむ光
暗黒に見えるようなものすら、みずからのうちに光を含むことが出来るという、空疎あるいは器としての豊饒としての暗さ

そう科学博物館の階段で見てしまった深い青とは、その透明で静謐な暗さ…だったのかもしれない

ぼくは雑踏のなかをいま歩いている
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テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/04/10(木) 19:32:12|
  2. ダークファンタジー
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