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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

翅よ翅よ ふたつの光の街で その4

水晶の玉だろうか…と、褐色のシートの上から手にしたそれは、むしろ柔らかさを感じさせ、そして温かだった.ぼくは陽にかざすようにしてその球体を見る.ひどく脆い光の卵…そんな感じだった
非常に透明で、透明感は石英以上…これはアクリルなのだろうか
でも、アクリルよりも柔らかに思える

どこかが水だった.光は透過し、同時にたたえられてもいた.水であり光の器でもある…ただ、何かがその内側に見えるような気がする.内側?透明な球体に内側というものがあるのだろうか.降りる駅…というよりもいまは終着駅になってしまった駅が近くなった.風は穏やかだった.トラムはその速度を落としてゆく
ぼくはその球体を上着のポケットに入れた

トラムのシートの上で陽光をあび、あたためられていたのだろうか.球体は暖かかった
ことん…と一度揺れてトラムは止まり、ぼくは立ちあがった.その駅は、かつての都市の駅を残して使われている.でも、その先に広がる都市は多層構造の都市で…しかも復興されずなかば廃墟化し過疎化も進んでいる.いくつかの災害が過ぎてゆき、それでもこの国はまだ多くの人が生き延びられたほうだったのかもしれない.その島嶼という条件.比較的山地の多いこと.最低限ではあれ主食を供給できたこと.それでも国土防衛戦は凄惨なものだったという.飢餓が世界を覆った半世紀のあいだに、世界の人口は激減した.砂漠に雨が続き、いくつもの内海を生じ、暴風雨が幾度も過ぎ、烈しい地震も続いた.そして気象衛星からも観測されるような巨大竜巻

都市は、天蓋のような構造で自身を烈風から防護するしかなくなっていた.その天蓋は平坦で高強度だったから、さらにその上に天蓋が重ねられた2層3層の都市も存在する.周辺部の集光システムから太陽光が下層にも配分されるので、層状都市の人工の空は意外なほど明るかった.

トラムは、そのK市のS駅で止まったのである
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テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/05/12(月) 20:42:35|
  2. ダークファンタジー
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