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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

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降る水 その1

中庭には、数種類の樹木が伸びていた.葉が茂っているけれど、薄暗さもあるのはそこがビルに挟まれている場所だったからだ.幾つかのベンチが置かれているものの、人の姿はない.ここは資料文書棟だった.叔父が健在だった頃何度か、ここを訪れたことがある

古い建物…大正末の建物だったから窓は鉄のサッシを持っていた.硝子はパテで止められ、ところどころ乾燥のためにひびわれてもいるが、補修もされている
サッシは濃い緑で丁寧に塗られていた
いま立っている廊下は狭い.両手を広げれば指の先が届くほどだから、幅は1.8mほどだろうか
廊下は板張りで木目が見える.ワックスがかけられて、深い艶を帯びているが、歳月のために磨耗はすすみ、木目が浮かび上がっている

窓の外の、ビルとビルに挟まれた狭い空は、一様の青というより白にしか見えない.雲ひとつない空であったのに
なにか散る光が落ちてくる.ゆっくり…細かな粒子として、虹のように色を変えながら
それは昨夜の雨がビルのコンクリートにしみこみ、それがにじみ出して落ちてくるもののようだった

叔父の愛したひとたち…画家…ピアニスト…彫刻家
どこかに満たされつつも満たされないなにかを感じさせる女性たち.そのひとりである彫刻家に頼まれて、ぼくはここに来ている

いま、手には真鍮製の鍵がある
その廊下に面した扉の奥は、標本室になっていた.真昼間…廊下側の窓の奥の闇は、淡いとはいえ青緑を帯びているようにも見える
空気のかわりに、硝子にみたされているような

鍵穴に真鍮の鍵をさしいれ、ゆっくりまわすと、金属同士の触れあう軋みとともに鍵はひらいた

匂い、がした

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テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/06/20(金) 00:12:59|
  2. ダークファンタジー
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