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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

水のあやなみ Ⅱの23

狭い、それだけに車は入ってこないような路地だった
光は、ざわめくことなくその路地をみたしている
光の静かさ.赤みを帯びた褐色のビル.硝子の窓がひろく、青い空と白い雲を映している
女性は空を見上げて立ち止まっていた

予兆、という言葉がうかぶ
予感よりも、もっとかすかな感覚…感覚ですらないような
記憶を結びつけようとする営為あるいは整序させてゆこうとすること…でも、その先にある混沌
闇をもたないあかるみの不可視
もう…時間は流れない.過去へも、そして未来へも
空…雲が太陽を背負い、光を散乱させまばゆい…meta…高さは距離に過ぎない

「meta というのは距離のことなんだ.事象と事象のあいだに生成される距離.上位下位や抽象度、あるいは概念純度の階層とは関係ない」
「でも、この世界をすべる基本原理は…きっとある」
「捨象は…概念化はつねに簡略化だと思うよ」
「そうかしら…だったら言葉ってなに?」
「言葉には揺曳する気圏があるじゃないか…言葉はつねに話されるものだから」

ぼくたちは、その褐色のビルの前に立っていた.何度も、ここに来た気がする
そう…

「ほらほら、立ちすくんでいないで入りましょう」
と女性はわらった
「ここにはあたたかな水があるわ?」
「…あ」
ぼくは何かを思いだしかけている
「覚えているかもしれない…この場所を」
「無理に思いださなくてもいいわ…そうすると何かを失うかもしれないから…そう、あなたは前に遷移…という言葉をつかったけれど」
女性は黒く大きな目をぼくに向け、そして続けた
「遷移…というのはそこから失われてゆく、ということかしら」
「失われる、ということはその失われによって満たされるということでもあるから」
と、ぼくは答えた.前に立つと、硝子のドアが音もなくひらいてゆく

奇妙な場所だった.かつてはオフィスだったのだろうか.入り口はひろく、病院であってもよさそうに見えるが、受付はホテルのそれに似ていたから、
スーツの若い女性がふたり、ぼくたちに視線をむけていた

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テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/09/21(日) 00:42:41|
  2. ダークファンタジー
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