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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

水のあやなみ Ⅱの25

「ここはもともとオフィスのビルだもの」
と女性は言った「それを改装してこのようにしたらしいわ」
「なんのために?」
「住居…ショウルーム…かな」
ドアは硝子だった.模様があり金網が鋳こまれているために、向こうは見えない.つかのま、ぼくは何かに立ちすくむ
「どうしたの」
「見えない」
「何が?」
女性は笑い、その笑いを引くようにおさめて、ぼくの顔を見た
「ドアの向こうの風景が、この歪んだ硝子に屈折して…」とぼくは言った
「そんなこと、あければ…」
女性は笑いながらプレートキーをスリットに挿入した.かすかな音がして、ドアの鍵が外れた

琥珀色の光が室内に充ちていた

夕暮の光、あるいは夜明けのひかりのような琥珀色の光.でもいまは真昼だ
その真昼から、喪われてゆく、青のスペクトルのためであるような琥珀色の光
「夕暮みたいだ…」
とぼくは言った
「それは窓ガラスのせいね.熱線吸収硝子みたいだわ」
そう…さしこむ光からは、どこか熱は失われている.空調の音は聞こえない.室内の空気はかすかに湿っている.観用植物が幾つも置かれている

でも、目が慣れたのだろうか.光の含む琥珀は淡くなってゆく

室内は、デパートの家具のショウルームを思わせた.でもソファーがいくつかとディスク、キッチン冷蔵庫…簡素なベッド.毛布…奥には壁のないバスルームのようなものがあった.そして白い大きなバスタブ.硝子のケース.ロッキングチェアにはほとんど等身大のクラシックドールが座っている


「おなかがすいたわね」と女性は言った
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テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/10/04(土) 11:27:42|
  2. ダークファンタジー
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