MittlereBereich

あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

水のあやなみ Ⅱの30

逆光に包まれて、ぼくのからだをつつむ産毛は金色に見えていたし、その沈めてゆくからだには光る細かな泡がまとわりついていた
顔を水からあげてそれを見つめていた女性は、指でぼくの肌についたその細かな気泡をはらいおとすようにして、ちいさく笑う
「…こんなに小さくても丸く感じるわ」
「そうかな…」

ぼくも、自分の腕のこまかな泡にふれてみた.まるさ…というよりも光る白の感覚だった
色の触覚…でも、それは消えてゆくことの感触でもあった
泡…その境界の光…境界によって裂け、そこで屈折し異化され、それでもやわらかな脆さであるもの
うしなわれることによってかたられるもの
その感触
女性の指がのび、ぼくの胸に再び触れた


気泡はぼくのむねからうかびあがり、水面をゆっくり流れてゆく.泡は音もなくはじけて、霧のようにちいさな水を水面を這うように漂わせる
そのしたに、女性の白い肢体が水のあわい色…そう、アクアマリンの色にそまり、湯舟の反射するひかりに揺れている

ぼくはからだを深く沈ませてゆく.それとともに、ぼくのからだからは重さ…が失われてゆく
腕を水の上にあげてゆくと、鉛のように重いのだが
その腕を、ぼくは女性の背にまわした
浮力によって軽くされながら、その背は重く、やはりあたたかかった

伝わるものは、なぜかあわく、吸いつけられてゆくようにその境界を淡くしてゆく.触れる…という感覚ですらないように


「不思議だな…わからなさと混沌のままの感覚の揺れが、こんなにもきみの内側ふかくにいることを感じさせるなんて…水だろうか…水のためだろうか」
「そうかしら」

女性の掌が水をすくいあげ、それをぼくの頭にそそいだ
「洗礼…」
といって女性は笑った
それが不思議に、短く鋭い悲しみとしてあらわれ、消えてゆく
ぼくたちの膝が触れ、かすかに骨のおとがした

「沈んでみましょう」
と女性は言った
スポンサーサイト

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/11/18(火) 23:54:58|
  2. ダークファンタジー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<水のあやなみ Ⅱの30 | ホーム | あの階層構造は…>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://sym82746.blog46.fc2.com/tb.php/218-37eb6231
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

sym82746

Author:sym82746
sym82746でぐぐっていただければ、わたしのプロフィールがなんとなくつかんでいただけるかも。現在6匹の猫と暮らしています

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

プロフィール

sym82746

Author:sym82746
sym82746でぐぐっていただければ、わたしのプロフィールがなんとなくつかんでいただけるかも。現在6匹の猫と暮らしています

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

blogpet

アナログFlash時計26(アクアブルー)








ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する