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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

みぞれ雪降る日のために その1

秋の色彩は金色を超え、空は青い.落ち葉たちは重さなきもののように舞い、静かに沈んでゆく
花水木の葉は銀色を帯びる.その銀色の奥の紅は艶やか、といってもよかった.そして香気…秋の大気に含まれるその香気
それは貴腐の葡萄の香気、高い枝にとり残された林檎の赤い実の奥で澄み、透明になってゆく漿液のあるかなきかの匂い
そして、落ち葉たちは雨にぬれ、ゆるやかにその色を暗くしてゆく.やがて冬にはそれは黒と灰色に変わる.でも、冬のその凍える大気のなかで落ち葉たちは匂いたつのだ

「冬、その黒と灰色をぼくは愛していたのかもしれない」

その公園は古い市街に続き、そこには大きな病院と旧い大学の建物がある.ぼくは人気のない舗道をあるいてゆく.硬いパンが茶色の紙袋のなかで音をたてる.そして野葡萄のワインが揺れている.そして林檎.1冊の本…そう「冬、その黒と灰色をぼくは愛していたのかもしれない」とその本ははじまるのだった.そして銀のペーパーナイフ

ぼくは年上の女性の家にあるいてゆく.ぼくよりもひとつ年上の…16才の…少女という年齢ではすでになく、病気のために家からでることの少ないひとりの女性であり、やはり少女とも呼べる存在

その家には広い庭があった.周囲を高い塀とフェンスにかこまれ、幾つもの大理石の彫像を持ち…どこか墓地のような、やはり廃園と呼ぶのがふさわしいようなその庭には、小さな亭のようなものがある.白い建物にぼくはまだ入ったことがない

門に、ぼくはたどりついた.一台の橄欖色の自転車が、斜めに鋳鉄の黒く錆びたフェンスにたてかけられている.それが少女の自転車であることに、ぼくの胸はたちさわぐ.痛みとよろこびとともに

蔦の枯葉のまといつく門は軋みながらひらいた


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テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/12/14(日) 07:14:26|
  2. ダークファンタジー
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  4. | コメント:0
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