MittlereBereich

あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

みぞれ雪降る日のために その2

門の扉は濡れている…と感じられるほど冷えていた.風はなく、大気は重く沈んでいる.でも庭の樹木は揺れている.彫像の天使の上に枝を垂れているイチイは、ゆっくり弧を描くように揺れていたから、初冬の木洩れ陽は、その斑の灰色の明暗をうつろわせてゆく
たかい空から雲の陰の流れてゆく野原を見れば、そのようにみえるのだろうか

庭の草は色あせてみえていた.…葉は細くなって、その先を緑から黄色にして
光は這うように低く、蒼白に、あるいは墨色を帯びているように思えた.まだ真昼をすこし過ぎたばかりだったけれど、それは色彩を奪ってゆく光のようにも思え…その光のなかに天使の彫像がある

ぼくはその天使の彫像が好きだった.うつむき、そして目を閉じて…あるいはうすくひらいて…それは、この先の建物にいるひとに似てもいたから

ぼくはあしおとをたてずに静かに歩いてゆく.庭の旧式の黒い車の上にも落ち葉は散っている
春、そのうえに桃の花が散っていた.黒い車の屋根は深い水のさざなみすらない表面のようだったから、その桃の花のひとひらひとひらは水に浮かぶようだった…その春はいま、冬になろうとしている

窓がある.建物も旧い建物だったからその色は庭の樹木や彫像たちと解けあうように古び、その明暗のトーンをひとしくしていたから、窓は、空を映している.それは切りとられた空のように見えた
でも、そのなかにあのひとがいる
祖母のものだという服にその身をつつんで

匂い…そのひとにはかすかに不思議な匂いがある

その建物の前にはローズゲートがある.いま、薔薇の花はない.蔓のようにローズゲートの青銅に捲きついて、その刺は鋭く,先端は水に溶けてゆく血のようにほの赤かった

スポンサーサイト
  1. 2008/12/15(月) 02:53:23|
  2. ダークファンタジー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<翅よ翅よ 黒揚羽 その1 | ホーム | みぞれ雪降る日のために その1>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://sym82746.blog46.fc2.com/tb.php/229-be73af87
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

sym82746

Author:sym82746
sym82746でぐぐっていただければ、わたしのプロフィールがなんとなくつかんでいただけるかも。現在6匹の猫と暮らしています

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

プロフィール

sym82746

Author:sym82746
sym82746でぐぐっていただければ、わたしのプロフィールがなんとなくつかんでいただけるかも。現在6匹の猫と暮らしています

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

blogpet

アナログFlash時計26(アクアブルー)








ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する