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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

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みぞれ雪降る日のために

そのひとのあとをついて、長い廊下を歩いてゆく
食堂は、吹きぬけの、どこか実験室のような雰囲気のある部屋…部屋と言えない印象なのは南と西のすべてが硝子張りになっているからだろう.ただ、改修の跡が残っている
1箇所.ステンドグラスがある.薔薇だった.紫と青の薔薇…薔薇ではないのかもしれない…でも14歳だったわたしには薔薇に見えたのだが

いくつか硝子の器具で組まれた実験装置のようなものがある.昇華抽出機のようなもの.キップの装置.そして前々世紀のもののような、震災前に輸入されたもののような巨大な顕微鏡と天体望遠鏡

見上げるほど巨大な顕微鏡は真鍮色の砲金製で、歳月にくすんだ光沢を鈍くはなっていて、同じ素材の望遠鏡のレンズは藍色に光っている

直径30cmほどの硝子の筒には水がみたされ、数匹の小さな透明のエビと水草が入っている

かすかに音をたてて、ゆきこさんが来た.そのひとの家庭教師でもあるというゆきこさんは、ぼくの若い叔母でもあるのだが、この家で暮らしているのだ.ほとんど黒に見える緑のビロードの吹くを着ている.カフスのレースは白.ゆきこさんの長い髪はまとめあげられているけれど、重たげなほどゆたかだった.でもそのひとの髪は、日本人形の女児ように短い

いつもこの部屋には気配があった

テーブルには1冊の黒い本が置かれている.ぼくの鞄の中にあるのと同じだという黒い本が
そのなかにこんな断章があることをぼくは思いだす


「夜、洗い流されてゆく夜.その澄んだ黒い水には、倒れた柳がまとわりつかせていた気泡がその柳のままのかたちに流れてゆく.黒の中をガラスに残された気泡のように、星のように光って.柳はとりのこされ水に揺れ震え…叫びを待つ…でも」
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テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2009/01/04(日) 08:39:46|
  2. ダークファンタジー
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