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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

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みぞれ雪降る日のために その6

その”黒い本”は3冊が存在するという
でも、そのすべてが同じ内容ではない…とも言う
そのひとの黒い本が、ぼくの黒い本と同じ…かどうかさえわからない


ゆきこさんと、そのひとは手をつないでいる.ゆきこさんの手は蒼白なまでに白く、そのひとの手はやわらかな肌色をしている.薔薇色…淡い…といってもよいような

ふたりに落ちかかる光は、高い庭の、無剪定のポプラのためにやわらかく散乱してふたりの輪郭を曖昧なものにしている.光はふたりを包むようにしながら…なにかを…浸食している

なにかを?なにを?

そのひとの上体は、ゆきこさんに依りかかるように揺れている.もしかすると、目を閉じて歩いているのかもしれない
あるいは、眠りに墜ちようとしているのかもしれない

廊下の左側はすべて硝子で、廊下は板張りに変わっていた.艶やかな木の廊下に、わずかに空の青である光をうつして

その青には、ぼくのこころを沈ませるなにかがあった.そのとき
ぼくは顔をあげた.ゆきこさんが肩越しにふりむくように、ぼくをみつめて微笑んでいる.いつもの
かすかに憂いのあるほほえみで、そのとき
にぎりあうそのひとの手に力がこもったのをぼくは、見た

ゆっくりと、黄変したポプラの葉が落ちてゆく.ふいに風が起こり、その葉は流れ視野から喪われた.遠く、どこかの家から時計が鳴る音が聞こえてくる.音も、流れるのだろうか

”黒い本”の一節をぼくは思いだす



「漂遊しているのはどちらなのだろう.雨は過ぎた.いくつもの水たまりを残して.水たまりは空を映していた.青である空を.
落ち葉がひとつ水たまりに浮かび流れてゆく.その映す空に雲も流れてゆく.わたしもまた、この推移し流れゆく世界を流れてゆく.ひとりで…ひとりのほかなく.だから埋めようとしてはいけないのだ.裂け目は…」
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テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2009/01/23(金) 08:27:20|
  2. ダークファンタジー
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