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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

キアスム

キアスム 
     渇愛

どこにもあなたはいないだれもぼくを覚えない音もなく朽ちてゆくこの都市


かさねあういくつもの翳いまともに死者たちとあゆむこの街


遠い光あたたかさなく離れて道に冬の陽の凍り尽くす朝


倒れ伏す草たちの翳は墨色羽交いのうちに聞く河の声


雨の夏草のいきれ満ち求めあう指と唇腕と胸の狂おしく渇く愛


     身体

獣の冬、まちの底には凍土青く空に響きつつあゆむ陽のなかに


いくつもの鈴は氷つきひびわれでもきみの胸の錆びた銀葉


剃刀と湯舟の真白くて水は流れないままに揺れている髪


吸おうとするのは空虚にみちる果漿匂い無く透明に過ぎて


翅のあるものたちの幻夏ガラスの音を聴きつつあゆむ冬の祝祭


   息嘯

川はあさみ魚は去り雲ひとつのみ遷り過ぎ陽もすでに傾き


琥珀色の光衰ゆみたしゆく室内の壁初冬の午後


あかりひとつ閉ざしに似つつふせゆく目は緑に眩む夏のまばゆく


ゆびさきの髪には深くうずめつつ霧深むらむ交じる息嘯は


逃れゆき逃れきれぬまま震え揺らぎなお立ちつくす冬のすさびに


   深緑

どこまでも一様の青、空に雲などはなくて歩くことはいつかできなくなる秋


こどもたちは疲れてひかりあかるくて傾いてゆく午後赤金の影


くるまのまどにうなだれて眠る父なるもの もうそこにはこなかった春の陽


冬の長さたどりつくこともできなく鞄には本たちどまれば死の


腕のうちにつつみつつまれて眠る朝 いつか目覚めなくてもいいその朝




キアスム

麦の葉の牙めくも冬乾き果てて土埃這う道のあかるく


川浅み乱れて光褪せゆくも淵すむ水に眠る魚たち


撓う背に髪の乱れてとじし目に飛行機雲の散り果てるまで


ひかりあおく獣のふたり背に銀に戯れて噛む夜の上の月


声を噛み震えゆく身体うちにふかくやみを真紅に染めている芥子

   海嘯

すぎしことすぎゆく雲の街にたかく白に極みぬ真昼遠きうみ


流砂まちの底辺に過ぎぬ爪先はほのかに赤むくちにふくめば


顔をふかく髪に埋めゆくうち深き水の底より霧わきおこる


聴く鼓動の背に烈しくもふるえきたりやがて絶えゆくことのかなしみ


髪乱れ海藻を纏ううでにつよくいだきしめゆく海の鎮めに




   揺籃

襤褸まとう青き肌の子歌はいま途絶えゆく風野の秋の道


月ほそみ虫たちの声きよけくもさらにほそみてきゆるこのよる


寒露川面に散り交いぬきみをむねにつつみしままゆれゆくこと


朽葉木洩れ陽水底よりひかりさしかえす冬はきたりぬ


包まれる眠りは緑息を聴く窓に十月の光濡れる雨


   嘯鳴

鉄色の結晶をまとい暗く髪は横たわる砂 低くなる空


抱くとき重くその頚撓いつつもかすかにひらく唇は 朱


羽交いして冷えるうなじに落ちくるか雨 十月の褪せる草の野


雲に低み海鳥の群は黒 すぎてゆく秋あたたかにつつみ 雲たち


抱擁のつめたさの潮ゆらぎながら水底に眠りとけてゆく息



   白青

斜めに、光あたる壁あの日そこにおかれた手のいまはなく、声


パウダーブルーの壁ひとのかたちも真白にかわる金の西日に


秋の空をみあげることのできないままあるく舗道の影のその青


石鹸の白い泡に肌ほの青くふりそそぐいまは遠い夏の雨


白そして白遠い野の羊のなか雲を抱く朝に眠るぼくたち


   透青

朝なのに琥珀色の空凝固してひびわれてゆくぼくたちの声


耳に触れる寝息を腕に生白くそのあしうらの砂鉄に濡れて


真昼には淡い星たち、かわされる声風に散る午後の劫苦は


濯ぐ水を白磁にみたす鉄色のドアここまでは日差しとどかずに


散る月の湖水は暗くぼくたちはぼおとに浮かぶあおく透む骨
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  1. 2017/06/07(水) 10:13:59|
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