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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

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水のあやなみ Ⅱの13

「ぼくたちは生からも死からも見放されているのだろうか…」
地下鉄内の乗客は意外に多かった
かたわらの女性は、すこし笑ってぼくを見つめた

…quanto se magis reperit anima segregatam ac solitariam ,tanto aptiorem se ipsam reddit ad quaerendam attingendumque creatorem et dominum suum

女性のラテン語の発語は、端正で美しい響きを持っていた.祈りそのものである言葉のように

ぼくは訳を試みる
「切り離され、孤立してゆくことによってこそ、そのような自身を見いだすことよってこそ人格は、この作りだされた世界にとって目指され求められ、あゆみよるべき人格に自らを近づけさせてゆく」

「うーん」と女性は笑った「あなたの翻訳を採点するとしたら60点かな」

「60点か…」ぼくは苦笑した「ロヨラ?」
「ええ」女性は肯いた「Exercitia Spiritualia」

「つまり…」とぼくは言った「神に見放された人間こそ、神を見いだす」
女性は笑った
「それは大胆に過ぎる要約だわ」

地下鉄の駅が近づいてきたのか、車両の速度は落ちはじめている
「プサルムが、あのように不在への呼びかけであるような悲歌に満ちているのは何故だろう…とぼくは思っていたものだから」

「愛するものに捨てられた一人のように?」女性の声は、なぜか低い呟きのようだった

「どうだろう…」ぼくはすこしうつむいて考える

そのとき、急なブレーキが軋み、ぼくたちの身体は進行方向にかたむいた.吊り革が揺れ乱れ、互いに触れあって音をたてた
そして微かなショックが続いた
「飛びこんだわね」と女性が言った
ぼくはすこし驚いて顔を上げた
「死ねるのか…この世界でも」
「死ねるわよ」女性は瞳を暗くしてぼくを見つめた「あなたは、忘れてしまったの?」



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テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/02/09(土) 01:44:09|
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