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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

雨と虹と雲…そして人形 その1話

いつか異常気象が日常のことになり、晴れた日に、そのまばゆいほどあかるい青の空をわたってゆく白い雲がおもいがけなく多量の雨を降らせてあざやかに、多彩の虹をみることも稀ではなくなっていたのです
そう…その虹の紫の深さといったらなかったのです
ほら、紫の水晶ってあるでしょう.紫がその深さの極みでそれを超えて透明にかわってゆく、その虹が真昼のあざやかさのなかに見えるのですから

もうひとつ異常なことかもしれないことと言えば…ということはいまはお話いたしますまい

ウジナやコロモやミツギやスズカといったメーカーはその洗練の極みに達して美しい…というよりもかわいくあでやかな人形を作り、それはあらゆる年齢層のひとびとにゆきわたって、いままちをあゆむひとたちの手はすべて、その人形たちにつながれていたのです.ほとんどは少女や小年たちの姿をした人形に

石油はもう昔に枯渇して、あの厄災の日のあと人類の大半は地球のあちこちから姿を消し、いくつかの雨に恵まれた土地だけが命をつなぐことができたのです

食料さえあればともかくもひとは生き延びることができましたから

人口は、やはりずいぶんすくなくなってしまい、都市にのこされた古いビルのひとつの屋上の菜園にいま、高齢の婦人が白から赤にあざやかにグラデーションするハツカダイコンを収穫していたのでした

都市の空に立つ風力発電風車の、回転する大きなウイングブレイドの影が、巨大な鳥の翼のように、菜園の濃い緑の上を過ぎてゆきます

高齢の女性は立ちあがって空を見上げました.そして屋上のベンチにあるきゆっくりそこにベンチがあることを確かめるようにして腰をおろしました

そこには1冊の本があるのでした
「二つの部屋、ひとつの食卓」という平凡な題の断想集 三年前に意外なほど長生きをして…90才を過ぎてこの世を去ったあのひとの残した本
それを高齢のその婦人はひらきました

…雨になるかも知れないね.そのときぼくはそう言った

婦人は青空を見上げました.そして
「雨になるかもしれないわ」とつぶやきました
かたわらの小年人形が
「雨になるかもしれないの?」
と、高齢の婦人を見上げました
「ええ、雨になるかもしれないわ」
と婦人は微笑みました
そしてその微笑みは淡くなり、婦人は眠るようにうなだれました
そして目が閉じられてゆきました
「雨になるのかな…」
そう空をみあげる小年人形の目の映す真昼の空には、どこか初夏の気配も感じられているのでした


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テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/03/20(木) 07:35:37|
  2. ダークファンタジー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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