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あやしく意味不明のダークファンタジー&SF。 一応健全(?)

雨と雲と虹 そして人形 その2話の1

夕暮の朱が急速に紫に奪われてゆく
そう感じたのは雲が流れて、空を覆いはじめているからだった

ぼくの部屋の窓にはカーテンが無い.スケッチ用の板が机のかわりで、さっきまで読んでいたのは「ハザール事典」の女性版だった

FZ14改NightDoll バイクのカウリングのハーフマットブラックとジュラルミンフレームにほどこされたチタニウム鍍金の淡い金色は、真昼には似あわなかった
ここの半地下の駐車場に置かれているそれは、夕暮から黎明にかけての色彩のようにいつも思えていた

キーホルダーには小さなフィギュアがついている.黒い髪の少女の.長い年月が過ぎたのだけれど、大切にあつかってきたから、傷はほとんどついていない

ぼくは壁に吊られている黒のレザーウエアを身につける.どこにも行け、そしてどこにも行けない1夜のために
黒のレザーウエアにいくつか残されている傷痕が蘇らせるものは、でも痛みではなく、過ぎ去っていった遠い時間のことだった.そしてあのたしかな真夏

ぼくはレザーウエアを軋ませながら階下におりてゆく.黒に、金色の蝶をひとつだけ描いたヘルメットを手に

バイクは、すこし身体を斜めにしてたたずんでいる.どこか放心したように

でも、ぼくが歩み寄り、キーをさしこみひねると、かすかに身震いするだけで、エンジンは音もなく目覚める.スロットルをひらいても、特殊なサイレンサに消音されて、排気音は電線を震わせる風ほどにも聞こえない

ぼくはヘルメットをかぶり、顎のベルトをロックしバイクとともに走りだす

夕暮の青がすべての風景を支配し始めたその中に
風はまだつめたくて、ウインドウシールドの内側では.少女の姿をしたフィギュアが、キーに吊られてちいさく揺れているのだった
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テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/03/24(月) 08:27:26|
  2. ダークファンタジー
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